この記事はTOEICテストを実施・運営しているの財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会とご相談させていただいた上で、協会が発行している『GLOBAL MANAGER』第32号から引用させていただきました。
精神的なエネルギーの波を
プラスに保ち、自分を信じて進む
今回『GLOBAL MANAGER』第32号よりご紹介するのは、弱冠26歳で起 業し、設立7年目にして東証マザーズ上場を果たした起業家、松崎みささ んです。
松崎さんの記事を読んでみると、自分の夢を持ち続け、自分を信じ て進む事、そして積極的にグローバルな舞台でビジネスを行なう事 で成功をつかんでいることがわかります。
元気のない日本でこれから成功するためのヒントが隠されているよ うです。
自分の会社をもち、グローバルビジネスを展開したい。そして開発途上国に少しでも貢献できれば。中古車輸出会社・アガスタを26歳で設立して、そんな幼い頃からの思いを実現させた松崎みさ氏。現状に甘んじることなく、未知なる新しい目標が現れるのを楽しみに前進を続ける。

松崎みさ(まつざき・みさ)
アガスタ 取締役会長
1970年京都生まれ。獨協大学卒業後、経営コンサルティング会社モベラ(ベンチャーリンクの子会社)に入社。フランチャイズビジネスに携わり、95年、ガリバーインターナショナルを担当。また世界40カ国以上を旅した経験から、Borderless Recycling(BLR)をコンセプトとしたリサイクル品流通のヒントを得る。97年、アガスタを起業。2004年、東証マザーズに上場。
幼い頃からの夢を形に
「自ら会社を起こし、世界を相手に商売がしたい」
それは、松崎みさ氏の幼い頃からの夢だった。
日本人が海外で “Jap”と呼ばれていた30年前。商社に勤務し、主にアフリカ地域で現地事務所の立ち上げをしていた父親の南アフリカ共和国への赴任に同行。言葉も分からないまま現地の小学校へ入学し、多様な人種、宗教の同級生に囲まれ、英語で意思を伝える術や自らを主張することの大切さを学んでいった。
一方、現地の働く女性たちに刺激を受けた氏の母親は、帰国後に会社を起こす。
「小さいながらも事業を立ち上げ、悩みながらも生き生きと頑張る母。世界を股にかけて新市場を開拓していく父。そんな両親の姿に触れて、いずれは経営者になり、海外、特に成長中の国や地域を対象にビジネスをしたいと考えるようになりました」
大学入学後は世界を自分の目で見たいと、休みのたびにバックパック一つで海外へ。欧米、アジア、中東諸国など訪れた国は40を超えた。卒業時にも起業の意思は変わらなかったが、32歳で会社を起こすことを目標に、まずは就職し、10年は真剣に修業をしようと考えた。
「やる気満々の女子は、かえって使いづらい」と言われるような時代。自ら「女性でも使ってくれますか」と尋ね、頷いてくれたコンサルティング会社に入社した。
臆せずに発信し、好機を捉える
転機は国内の中古車取引会社・ガリバーインターナショナルの担当となった2年後に訪れた。当時日本の中古車市場は50万台規模で、うち約1割が海外への販売。輸出専門の会社もあるにはあったが、個人経営に近い小さな会社ばかりだった。
「かつて旅行した国々では、輸送用の車両がなく、生鮮食料品が人々に届かない状況も多々見られました。そうした国では、たとえ日本では値がつかないほど使い込んだ車でも喜んでもらえる。中古車の輸出で現地の生活水準向上に少しは貢献できるし、ビジネスとしても可能性は大きいと思ったんです」
アジア通貨危機下で資金を貸し渋る銀行に頼ることなく、氏は貯金300万円を元手に計画を6年前倒しでアガスタを設立。アパートの自室を事務所に、携帯電話とファクス1台で事業を開始した。
まず各国大使館にディーラーの紹介を仰ぎ、ファクスや電話で交渉。学生時代に主な市場となる国を訪問し、ある程度の土地勘があったのが幸いした。新規市場を開拓するたび自動車運搬用の船舶確保に追われるなど予想外の苦労もあったが、人との出会いにも恵まれた。
「ガリバーなど中古車買取店の協力により業界初の在庫をもたないビジネスモデルを取れたのが、資金繰りの面でも本当に助かりました。そして海外のお客様は代金先払いというシステムを受け入れてくれた。よく信じてくれたな、と今でも感謝しています」
海外との取引では「日本人は真面目で勤勉というイメージがプラスに働いた」と分析するが、「誰が、何を、いつするか」を明確に示す氏のスタイルと、言葉の通じない国での生活や旅行で鍛えたコミュニケーション力が相手の信用を得る大きな力になったことは想像に難くない。
月2〜3台で始まった売上もすぐ数十台に伸び、毎月100万円ほどが手元に残るようになった。しかし氏はそこで満足せずに事業を拡大。取引先にも社員にも、「社会に影響を与えられる大きな事業を目指す」とメッセージを送りつづけた。こうした思いは人づてに伝わり、投資家も出現。そして設立7年目の2004年、ついに東証マザーズへの上場にこぎつけた。
未知なる目標にワクワクする毎日
信用面、資金面、さらに人材の獲得面でも、会社を一つ上のステージに進めた上場。しかしその直後、アガスタは売掛金回収遅延問題で約9000万円のロスを出す創業以来のピンチに陥った。自分を信用してくれた投資家や株主の言葉が胸に刺さったが、氏は自らの甘さを反省し、落ち込む暇もなく立て直しに奔走。「いま考えれば、組織を強くするきっかけにもなった」と当時を振り返る。
「大切なのは自分を信じること。この程度で負けるわけがないという気持ちがなければ思いを遂げることは不可能です。また、社長になれば小さい企業でも毎日が決断の連続。成功が確実な条件が揃ったケースなどほとんどありませんが、チャンスと見れば自分を信じてとにかく進む。周囲もそのエネルギーについてきてくれると思うんです」
一方、井の中の蛙にならないよう、日頃から優れた人の話に耳を傾け、自分に足りないものを学ぶよう心がけている。精神面の好不調は誰にでもあるが、「経営者ならば少なくともマイナスになってはいけない」と自らに言い聞かせているという松崎氏。また、人の話にエネルギーを与えられることも多いと語る。
会長となった今はB to Bだった事業をB to Cにも拡大し、海外の個人顧客向けのウェブ販売も開始。さらにBorderless Recycling(BLR)の商標を掲げ、より多彩な商材を世界に供給するよう目指している。ただし、それも現在の技術水準と今の自身の知識レベルで描いた、あくまで現時点の目標だ。
「技術は日々進歩するし、私も毎日が気づきと学びの連続。それに応じてゴールも変わってくるはずです」と微笑む氏は、日本の若い起業家の目が国内市場にばかり向けられがちなのを「もったいない」と考えている。
「香港やシンガポールの起業家は、自国マーケットの限界やリスクを自覚して最初からグローバルビジネスを考える。日本も人口減少で今後市場は小さくなっていきます。世界を舞台に活躍する日本人起業家が、今後ぜひとも増えてほしいと願っています」

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