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GLOBAL MANAGERからの記事紹介


世界には優秀な様々なタイプのリーダーがいます。その中で、自分のロールモデルとなるリーダーとの出会いは自分の生き方に多くの影響を与えることでしょう。
今回、その1人が自分の父であったという小林陽太郎氏の記事を紹介したいと思います。
リーダーとして、知識、教養、経験もさることながら、「人間力」が大切であるとのことです。

 


この記事はTOEICテストを実施・運営しているの財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会とご相談させていただいた上で、協会が発行している『GLOBAL MANAGER』第28号から引用させていただきました。


小林陽太郎氏
小林陽太郎(こばやし・ようたろう)
富士ゼロックス 相談役最高顧問/国際大学 理事長

1933年、英国生まれ。56年、慶應義塾大学経済学部卒業。58年、米
国ペンシルべニア大学ウォートンスクールにてMBA取得後、富士写真
フイルム入社。63年、富士ゼロックス設立とともに移籍。78年より
同社社長、92年より会長、2006年より相談役最高顧問。99〜02年、
(社)経済同友会代表幹事。03年より国際大学理事長。ソニー社外
取締役ほか産官学の要職を兼務。

 

 

 

世界に学んだリーダーシップ

富士ゼロックス 相談役最高顧問/国際大学 理事長


米国でMBAを取得し、富士ゼロックスの社長、会長、経済同友会代表幹事などを歴任。
財界有数の国際派として後進に道を示してきた小林陽太郎氏。
国際大学の理事長も務め、世界で活躍できる人材の育成にも力を注ぐ氏が、未来のリーダーを志す人々に熱いメッセージを贈る。

私のリーダーシップに影響を与えた人たち

 ビジネスリーダーとして、私は三人から大きな影響を受けました。一人目は、父親であり富士写真フイルムの経営に携わった小林節太郎。農家の次男で苦学し、努力で必ず道は拓けるという信念の持ち主でした。明治生まれの寡黙さで、口を開いても話すのは二言、三言。子供の頃は母の通訳がなければ意図を理解できないほどでしたが、社会に出ると、異なる面が見えてきました。経営者である父は口数が少ない分、他人の話をよく聴くことのできる人だと気づいたのです。また自分であれこれ決めてしまわず、決断を下すのは本当に肝心な問題についてだけ。より困難であっても最高の成果に続く道を選ぼうとしているように映りました。
  二人目はハーバード大学ビジネススクールの名誉教授で、マーケティングの大家でもあるセオドア・レビット。「企業の最終目的は利益ではない。利益は手段で、その次に本当の目的、すなわち社会への
貢献を置くべきだ」という彼の著書に触れて以来、「社会のための企業の実現」が私の信条となりました。
  三人目は最も影響された人物で、私が富士ゼロックスに入った当時、米国ゼロックスの社長だったジョセフ・ウィルソンです。
  私が一番に引かれたのは、彼の人間性。企業経営者として現実的で厳しい面をもちつつも、教養にあふれ、懐の深い、きわめて魅力的な人物でした。市場原理が強く働く米国にいながら企業の社会性を堂々と論じ、ソーシャル・サービス・プログラムなどを実践しながら立派に事業収益をあげていたのです。
  彼と出会い、さまざまな経験を積むうち、「いつか彼のようなリーダーに」と目標が明確になりました。

リーダーとして新しい時代の訪れを発信

 ウィルソンからは、人を育てるうえでは「組織が本来もっているミッション、長短期の目標にどうチャレンジさせるか」が大切だということも学びました。言い換えれば、組織のなかの個人をより広く組織外の世界に接触させて、より大きな視野を育むということ。そうして成長した個人は、組織内で周囲をも感化する新たなリーダーとなるわけです。

 ウィルソン氏に学んだ小林氏は、富士ゼロックスの社長に就任後、日本企業初のソーシャル・サービス制度を導入。社員の社会貢献活動を奨励するとともに、企業の社会的責任を果たすべく尽力した。就任当初から企業の枠を超え、現在のCSRブームに先駆けて新潮流を創出した小林氏。そのリーダーシップの萌芽は、社長就任以前にも現れていた(編集部注)。

 私が自分なりにリーダーとして活動し、印象深かった経験といえば、一つは30代だった1970年の広告づくりでしょうか。当時、複写機のような事務機器の宣伝にマスメディアは用いられませんでした。採用権は総務や経理の責任者に限られていたためです。しかし実際に機器を利用するのは若い社員たち。そこで彼らをターゲットにテレビや新聞を使い「ビューティフル・キャンペーン」を展開しました。高度経済成長期の社会的風潮だった「モーレツ(猛烈)」に対抗し、心のゆとりや人間らしさを「ビューティフル」という表現に託したのです。「富士ゼロックスの製品は業務効率を上げ、時間の余裕を生みます」
という意味も込めました。結果、若い世代から大きな反響がありましたし、人と職場の新しい関係、企業や社会の新しいあり方をアピールできたと思います。
  もう一つは副社長の頃、1976年に取り組みを開始したTQC(全社的品質管理)です。社員に相当な負担もかかりますので、TQCの意義を共有しなければ前へ進めない。意識統一のためのコミュニケーションの重要性を痛感しました。社員とはface to face、さらに踏み込んでheart to heartの話をしたつもりです。ご家族の理解も必要でしたから奥様に手紙を書いたこともあります。こうして全社の力が結集し、なんとかTQCは成功。80年に品質管理の表彰制度であるデミング賞を受賞することができました。

 

謙虚なリーダーが期待を裏切ることも

 思えば20代で留学から帰国した直後、私自身、父の前で組織論をふりかざしては、「組織よりも前に、まず人だ」と、たしなめられたものでした。後につくづく納得できたわけですが、あわせて「人は理詰めのスキルよりも人間力」、そう私は考えます。日本人リーダーが海外でうまく機能できない場合、原因はビジネススキルの問題でなく、人間関係にまつわる失敗がほとんどだと思います。
  人間力は世界共通。後はその土地で最も効率的なコミュニケーションをいかに取るかということです。これは聞いた話ですが、ある日本人リーダーが海外の現地法人へ赴任し、ローカルスタッフの反感を避けようとトップダウンの振る舞いは控え、ボトムアップを待つ態度でいたところ、かえってスタッフが戸惑ってしまったというのです。謙虚さは大切でも、国の文化によっては人々がボトムアップに慣れておらず、逆に相手の期待を裏切る結果ともなる。アジア諸国の経済成長とグローバル化の急加速により、日本から赴くリーダーはますます増えていくだけに、さまざまな側面で現地の期待とのギャップをなくす対策が急務でしょう。

 「こうした課題への事前準備を個人による自己研鑽だけに任せるのは酷。社員に学びの場を与え、その潜在力を最大限に伸ばすことも、非常に大切な企業の使命の一つ。企業はリーダー育成プログラムなどの積極的な機会の提供を含め、サポート体制を強化すべき」と小林氏。自身も財界のリーダーとして後進の育成に励むとともに、ビジネスリーダーの育成を目的としたNPOの役職なども兼務。2003年には国際大学の理事長にも就任した(編集部注)。

 国際大学は、国際関係学と国際経営学の二つの研究科(修士課程)をもち、全授業を英語で行う日本で最初の大学院大学です。世界約50カ国の学生が集い、現在約8割は外国人。キャンパスはまさに多文化共生社会で、宗教や価値観も違う学生たちが、そこかしこでディスカッションする姿が見られます。多様性のなかで自分とはまったく背景を異にする人々と向き合い、現実感に満ちた驚きや刺激を得て人間性を涵養していける。カリキュラムもさることながら、この、世界でもまれな人的環境の価値が非常に大きいと言えるでしょう。
  いくら最新のマネジメント手法を学んでも、豊かなリベラルアーツと高い人格を備えていなければ、単に経営理論をふりまわすことになってしまい、人の上に立つことなどできません。
  いま、尊敬するジョセフ・ウィルソンを再び思いつつ強調したいのは、「何よりも万国の万人に慕われる人間的な魅力を磨き上げるべきだ」、このことにつきるということです。そして皆さんが、企業の最終目的を決して見誤らない真のグローバルリーダーとなってくださるよう願っています。

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コラム
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決断の前には「素心深考」を忘れない

 30年ほど前、広中平祐氏(数学者)が色紙に書いてくださった言葉が「素心深考」でした。嘘や飾りのない素直な心で深く考えてみよう、あるいは素心になってこそ深く考えることができる、という教えだと思います。私も経営上の迅速な意思決定を迫られましたし、今も急がなければならない場面はしばしばです。しかし、膨大な情報のなかから真実を見出すためにも、「素心深考」を忘れないよう自戒しています。例えば、仕事や学業の岐路に立ったときは、「素心深考」してみる。その末に方向を決め歩み出したなら、苦しい事態に直面しても立ち向かうことができ、人間力も鍛錬されていくはずです。

 

 


TOEIC(Test of English for International Communication)を実施・運営している財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会からのメッセージです。

『GLOBAL MANAGER』 とは? GLOBAL MANAGER28号
国際コミュニケーション英語能力テスト、TOEIC(Test of English for International Communication)を実施・運営している財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会発行の総合情報誌です。グローバルビジネスの第一線で活躍中のビジネスパーソンや専門家に、国や文化を超えて活躍するためのノウハウ、スキル、ヒントなどを語っていただいています。

2006年5月発行の第25号より全面リニューアル!「Motivating & Practical」のコンセプトはそのままに、より質の高い情報と見やすく楽しめる誌面を目指しています。

◆英語学習に役立つコーナー!
◇「英文メール強化塾」
実践的なケーススタディによる英文メール作成講座。ビジネスシーンですぐに役立つ英文メールの書き方をポール・ビソネット氏が指導します。

◆その他の英文記事
◇「英語にない日本語」:英訳が難しい日本語独特の表現をロッシェル・カップ氏が解説
◇「ワタシの奮闘記」:グローバルビジネスで活躍する外国人が語る文化や言葉の壁の乗り越え方

発行月:年4回(2、5、8、11月)

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